
食いつきの悪い愛犬(トイプードル♀)が喜んで食べるドッグフードを求めて、今までに試したドッグフードをご紹介したいのですが、飼い主の不安を煽って購入させようとするドッグフードのレビューサイトが多いとわかりました。
情報を発信する側の人間として同じことをしたくはないんですけど、多くのサイトで同じことが書かれていると、つい正しい情報だと思い込んで同じ内容を書いてしまいそうになるので、ここに安心安全なドッグフードが選べるように情報を整理しました。
安心安全なドッグフードを選べる飼い主になるための基礎知識。
ドッグフードのレビューサイトに書かれた根拠に乏しい情報を鵜呑みにしてしまってる節が私自身にあったので、今回は正しい知識を持って安心安全なドッグフードが選べる飼い主になれるよう情報をまとめました。
ヒューマングレード
「ヒューマングレード」とパッケージに表示するために定められた基準はなく、キャッチコピーとして使用されています。
人が食べる原材料を部分的に使用しているのを、食品と同等の品質管理されている原材料を使用して製造されている、と読み手が都合よく解釈している場合があります。
いなばのちゅーるのように公式サイトで【ペットフードに対しても人間用食品の法規である「食品衛生法」の基準に基づく製造管理している】と明示されているものがヒューマングレードだといえますが、いなばのちゅーるにヒューマングレードの表示はありません。(いなばはドッグフードの表示も食品と同等にしているようです)
また、ときどき見かけるパッケージに「HACCP(ハサップ)」と書かれたドッグフードも信頼できる品質管理のもと製造されています。
「HACCP(ハサップ)」とは、食品を製造する各工程において検査し安全性をチェックするシステム。
日本では、食品衛生法の改正によって、2021年6月1日から全ての食品関連事業者にHACCP導入が義務化されました。が、日本においてドッグフードは食品とは扱われないので、ペットフード製造業者には当てはまりません。
しかし、欧州では、FEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)が加盟メンバーに対してHACCP導入を指導しています。よって、パッケージに「FEDIAF」の表示があるドッグフードもヒューマングレードだといえます。
ドッグフードのレビューに、ヒューマングレードの表示があるだけで高品質なドッグフードと評価されていることがあるけれど、それを読んで「ヒューマングレード=高級品」と理解するのは構いませんが、「高価なドッグフード=健康に良いドッグフード」と理解してはダメ。
「ヒューマングレードは健康に良いドッグフード」「健康に良いドッグフードだから愛犬が病気になりにくい」と勘違いしている飼い主さんがいますが、ヒューマングレードのドッグフードを食べた犬が、そうでないドッグフードを食べた犬よりも健康に長生きしたという研究結果をインターネット上では見つけられません。

ドッグフードの品質をどうこう言うのは、万一の死亡につながる事故がたまに起こるからで、健康とか長生きとかのもっと手前の段階の話。
ペットフード安全法が施行されて、ドッグフードの品質は一定の水準を保たれていますので、原料の品質を心配するよりも総合栄養食として栄養バランスが適切かどうかを重視してあげてください。
ドッグフードのレビューサイトで「4Dミート」なんてワードが出てきたら、情報が古すぎます。

グレインフリー
「グレインフリー」は、米やトウモロコシなどの穀物を使用していないことを意味し、「グルテンフリー」は、穀物(グレイン)を製粉して作られる純粋なタンパク質が使われていないことを意味します。
グルテンフリーの表示があるドッグフードのなかには、グルテンに似たタンパク質が含まれる大麦やライ麦が原材料に使用されていることがあるため、グルテンに強くアレルギー反応を示すワンちゃんを飼われている方は要注意です。

"犬は肉食だから穀物を消化できない"と書かれていることがありますが、犬の祖先ハイイロオオカミは雑食ですし、犬は水と加熱し調理した穀物を適切な量であれば消化できるとわかっています。
穀物でアレルギーを起こす犬がいるのは間違いありませんが、すべての犬がグレインフリーを与えることで健康に長生きするわけではありません。愛犬の体質に合わせて選んであげましょう。

参考ペットフードに穀物(グレイン)は必要? 疑問解決編|ロイヤルカナン
添加物
令和3年現在、食品衛生法では「合成添加物」だけではなく「天然添加物」も含めて「添加物」に指定されているのをご存じでしょうか。(天然添加物が使用されている場合に「合成添加物不使用」と表示されていることがあるので、よくご覧になってみてください。)添加物は、天然か人工かでは物質の危険性は比べられません。
そして、ドッグフードに使用される添加物は「食品」と「飼料」に使用が許可されたものが使われます。
ドッグフードに使用される添加物
- 食品添加物
- 飼料添加物
食品添加物と飼料添加物、どちらも安全性と有効性を科学的に評価し厚生労働大臣が認めたものだけが使用されるので、一概に添加物不使用のドッグフードを選んだほうがいいとは言えないんです。
食品添加物の種類は、「甘味料」「着色料」「保存料」「増粘安定剤」「酸化防止剤」「発色剤」「漂白剤」「防カビ剤」「ガムベース」「苦味料」「酵素」「光沢剤」「香料」「酸味料」「調味料」「乳化剤」「膨張剤」「栄養強化剤」「製造用剤」があります。
飼料添加物には、「品質の低下を防止」「栄養成分の補給」「栄養成分の促進」といった役割があります。
添加物が使用されていないドッグフードは、消費期限が短かったり、総合栄養食ではなかったりするということです。
添加物を摂りすぎるのがよくないのであって、少し食べただけですぐに体に害を及ぼすようなものではありません。

参考「無添加」「不使用」表示に関する見解|一般社団法人 日本食品添加物協会
参考ホントに知っていますか?食品添加物のこと|味の素株式会社
参考飼料添加物一覧|農林水産消費安全技術センター(FAMIC)
ペットフード安全法
2009年に「ペットフード安全法」が施行されて、ペットフードの製造方法やパッケージの表示に基準が定められました。その基準・規格に合わなければ、ペットフードの製造・輸入・販売は禁止されているのが現状です。
また、ペットフードの輸入や製造を行うメーカーは届出が義務化されるようになり、届出た事業者に対し国と 農林水産消費安全技術センター (FAMIC) は立入検査を実施しています。
ドッグフードのレビューサイトで「何が入っているかわかりません」「品質の悪い材料が入っているかもしれません」と書かれているのをよく目にしましたが、有害な物質を含むペットフードは製造・輸入・販売を禁止されるので、そのようなドッグフードを見つける方が難しいと言えます。
問題発生時に製品や原因を速やかに特定し、ペットの健康被害を未然に防止するために、ペットフードの「名称・賞味期限・原材料名・原産国名・事業者名及び住所」の5項目の表示を義務付ける「ペットフード安全法」が2009年に施行されているのを私たち飼い主は覚えておかなければなりません。(ペットフード公正取引協議会に加盟していない事業者もペットフード安全法にしたがった表示をするようになりました。)
栄養バランス
私たち飼い主が心配すべきは、ドッグフードの品質よりも、栄養バランスのほうなんです。
しかし、栄養バランスが良いかどうかを判断する知識を持っていないことが普通なので、私たち飼い主はある基準をもとに製造されたドッグフードを選ぶことができます。
「AAFCOまたはFEDIAFの栄養基準をクリアしている」「総合栄養食の基準を満たすことが証明されている」といった表示のあるものが、犬に適した栄養バランスのドッグフードです。
「AAFCOと書いてあってもいいとは限らない」と書かれていることがありますが、それに代わる栄養バランスを何も明示できていなければ、AAFCOの栄養基準値から大きく外れている、もしくは栄養バランスが悪く総合栄養食ではない可能性を疑ってみてください。
おすすめドッグフードをランキングにしてみました。
値段が高いとなんとなく高品質なドッグフードのように思ってしまいますが、なかには海外からの輸送費と宣伝広告費にお金を使って、原材料は別に大したことないドッグフードもあるんですよね。「原材料が~」「添加物が~」と売り文句に使われますが、正直なところ、現在国内で販売されているドッグフードに危険な物質が入っているとか体に害を及ぼすようなものを見つけるほうが難しくて、ほとんどのドッグフードが一定の品質をクリアしており似たり寄ったりなんです。
愛犬に長生きしてもらいたいのであれば、愛犬の体質に合うドッグフードを選んであげましょう。そのためにアレルギー検査をしてあげるのも一つの方法としてあります。
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愛犬に合うドッグフード選びに悩んだら「ペットのアレルギー検査」と「フードローテーション」で解決!
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以上のことをふまえて、ここから先は、愛犬の食いつきの良さと値段に見合う品質であるかどうかを判断基準にしておすすめドッグフードを選定しましたので参考にしてみてください。
1位 いなば ちゅ~るごはん 総合栄養食 とりささみ・ビーフバラエティ
いなば食品で有名なあの「いなば」が製造するペットフード。食品衛生法と同等の品質管理のもと作られるので安心です。マイナスポイントを挙げるとしたら、主食にするには何十本もあげないといけないので1日千円を超えてしまうところ。
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毎日たくさんあげられる!いなばわんちゅーる総合栄養食の購入レビュー。
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2位 多可町発の地域課題解決型ドッグフード「TASHIKA」鹿肉60%
兵庫県多可町の地域課題を解決するために作られる完全無添加のドッグフード。害獣として駆除された鹿を新鮮なうちに内臓も含めて調理するのことで、添加物を使用せずに鉄分やミネラルの栄養素を含むことができています。鹿肉をたっぷり使用しているのでお肉大好きなワンちゃんにおすすめ。
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ドッグフード【TASHIKA】を購入レビュー。食べムラのある愛犬が食いついてるよ。
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3位 ドッグフード工房 馬肉
添加物に詳しくなり、ビタミンやミネラルといった栄養強化剤の添加物を一切使用せずに総合栄養食の基準を満たす国産ドッグフードを探すと、おのずとたどり着くドッグフード。欧州のプレミアムドッグフードと同じ価格帯ですが、国産で輸送費がかからないぶん高品質な食材を使用しています。
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本気の完全無添加!ドッグフード工房を購入レビュー。
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4位 ロットプレミア チキン&アガリクス 成犬用
チキンをメインに、炭水化物源をイモとマメにすることで穀物アレルギーに配慮されたドッグフード。高たんぱくのドッグフードなので運動量の多いワンちゃんや小食のワンちゃんにおすすめ。1粒あたりのカロリーが高いので、給与量が少なく済み、1日あたりの値段もそれほど高くありません。免疫力を強化する効果が期待されるアガリクス配合。
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ロットプレミア チキン&アガリクスの購入レビュー。
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5位 セレクトバランス アダルト/1才以上の成犬用 チキン 小粒
必要最低限の栄養だけでなく、コエンザイムQ10やクランベリーなどもプラスされています。メインに肉(乾燥チキン)を使い、その他に安い原材料を使用することで、必要な栄養をバランスよく含みながら、価格は抑えられている良心的なドッグフード。
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6位 ネスレ ピュリナワン ほぐし粒入り 成犬用
世界的に有名なネスレが製造するドッグフード。安価な原料を使用していますが、その分安く買えますので、ドッグフードにあまりお金をかけられない飼い主さんにおすすめします。80年以上ペットフード業界で研究に取り組んでいる歴史があります。
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ドッグフードの原材料チキンミールが犬に危険だと言われる本当の理由。
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7位 ブッチ
人気のドッグフードなので言い難いのですが、過大評価されているように思います。というのも、ホームページの商品説明が誤解させるような書き方をしていて、天然添加物が入っているのを人工添加物不使用と書いていたり、グレインが入っているのをグルテンフリーと書いていたり。知識のない飼い主さんは、添加物不使用で穀物不使用のドッグフードだと勘違いしていると思います。水分含有量70%についても、加熱して蒸発した水分を後から足して凝固剤で固めているだけのことで特筆するほどではありません。
よって品質に対して値段が高いように思います。(食いつきがいいから高くてもあげたいという飼い主さんは全然与えてもらってOKです)
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ブッチを食いつきの悪いトイプードルに買ってあげました。
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