エッセイ 介護士の動機

介護施設の管理者が目指すのは自然な笑顔を引き出す介護現場。

投稿日:2017年6月8日 更新日:

「私が生きているせいで、介護士が大変な目にあっている。」と話す利用者がいれば、

「私が大変そうな表情を見せてしまったことで、利用者が罪悪感を感じている。」と話す介護士がいました。

利用者と介護士、どちらも楽な気持ちでいられるのが理想です。

施設管理者には、無理のない楽な介護現場をつくりあげることが利用者のためでもあると理解し、業務内容のひとつとして現場の改善に協力していただけると嬉しいです。

今となっては副業介護士ですが、現場を16年見てきた介護士の意見です。

 

笑顔を引き出す「楽な介護施設」。

「大変なのはわかるけど、大変そうには見せないで。」

施設で働く介護士に求められているのは、大雑把にいうとこんな感じ。

これって、本当に中身のよくできた人間か、本心を隠して表面上だけよく見せている人間のどちらかにならないとできません。

性格が素直で純粋な人ほど、悪気なく疲れたときに、「しんどい!!疲れた!!」と声に出して言います。

私は、本心を隠して表面上だけよく見せている人よりも、疲れたときに「疲れた~」と言える人のほうが介護士には向いていると思います。もっと向いているのは、疲れ知らずにさらっとできてしまう人ですが、世の中そんな良くできた人間ばっかりじゃないです。

なので素直な人が大変がらずに働けるように、サボれるところはサボりましょうと言いたい。

介護される人のためにも、介護士が大変がらずに働けるように、手を抜けるところはどんどん手を抜いていきましょう。

被介護者の生活の質(QOL : Quality Of Life)を落とさずに介護者が楽できる工夫を考えてみましょう。

 

利用者の自然な笑顔を引き出す

介護士になったばかりの頃は、利用者さんに喜んでもらえることが、ヤル気につながっていると思います。

けれど「喜んでもらうために頑張る」という気持ちがあると、自分の言動のどこかしらに「あなたの喜んでいる姿を見せてほしい。」という気持ちが言動に表れてしまいます。

心優しい利用者は介護士のために、喜んだふりをしてくれます。お店の店員だったらそれでいいと思いますが、介護士は時にその喜びが本物なのかを疑うことも必要かと思います。

施設で暮らす利用者が24時間いつもいつも喜んでいるかというと、そうではないと思います。一人の時間をどんな気持ちで過ごしているのかどうか、気にかけてほしいです。

被介護者は、自分のせいで介護士が大変な思いをしているという負い目から、喜んだフリをしてくれることがあります。もちろん全ての利用者がそうではありませんが。

利用者が喜んでくれることだけをヤル気にしていたら、嘘でも決して喜んでくれない介護度の重い利用者の反応が悪のようになってきます。喜ばない利用者に対する介護士の態度をそばで見ているから、介護度が低い頭のクリアな利用者ほど余計に喜ぶフリをしてくれるのです。利用者が喜ぶことで、介護士が上機嫌になるのを知っているから。

利用者を喜ばせることが自分の喜びになっている人は、いったん喜ばせるのをやめてみましょう。「私の態度はあなたがどんな表情をみせても変わらない。」という姿を見せてみましょう。

自分の目の前にいる人が笑っていなくても許してあげましょう。心を開いてくれた人はこちらが真顔で話していても自然と笑ってくれるようになります。

 

施設管理者は行政のためにする仕事を介護士に求めない

介護現場で実際に働いている方なら知っていると思いますが、沢山の介護記録(介護日誌やケース記録の他にも、レクリエーションをしたらレクリエーション日誌、事故があったらヒヤリハット報告書、行事があれば行事計画書などなど)を書くのが日課としてあります。本来それらの書類は利用者を知るためにあるべきなんですが、数年に一度入る行政の監査を意識して書かされることがあります。

監査員への補足説明は現場の介護士の記録ではなく施設管理者に行ってもらいましょう。

これは管理者の方に言いたい。現場の介護士は利用者のことだけを考えて働けるようにしてほしい。

福祉施設の運営は、利用者よりも監査を重視した運営に向かってしまうことがよくあります。

行政からの指示を、それをそのまま現場の介護士まで持ってこないでほしい。ただ指示を下におろすだけじゃなく、現場のことを考えて不要な指示は途中で止めることも時にはしてほしい。

例えば、言葉遣いを正したいなら、「言葉遣いに気を付けてください。」という曖昧な指示を出さないでほしい。介護士は決まり文句を繰り返すだけでは仕事にならないんです。せめて受け答えのマニュアルが作れるかどうかくらいは考えてから話してほしい。

施設管理者が考えなければならないのは利用者のことではなく介護士のこと。介護士が気持ちよく働けるような環境づくりに最善を尽くしてほしい。利用者のことを考えるのは現場の介護士にまかせてほしい。

施設から大事にされていると感じられれば、自然と介護士は利用者のことも大事にします。

利用者がいることで自分たち介護士がこんなひどい目にあっているだなんて思わせてしまったら最後です。

脅しみたいですが、表には出さなくても気持ちは確実に利用者から離れていきます。

 

施設管理者は介護士を信じて頼ってほしい

私が出会った二人の管理者。

「悩んでることとかない?」と聞かれ、私が「特に何もないです。」というと「何もないというのは悪いことじゃないよ。現状を維持できているということだから。」と言ってくれた管理者。この管理者は頭のきれる人で、私から聞かなくても現場のことは把握していたし、何より私の扱い方が上手でした。私の物差しで物事を測ることを認めてくれ、私から見た「特に何もない。(私の許容範囲です。)」という意味を理解してくれていました。

入れ替わりで来た管理者はというと、「最近どうですか?」と聞かれ、

私が「何もないですよ。」というと、「そんなはずがない。何かあるでしょ?」という。

新しく来て何もわからず、なんでもいいから知りたかったのかもしれないし、その管理者から見て問題に思うことがあり、それに気づいてほしかったのかもしれない。

知りたいことがあるなら「教えてほしい」と言えばいいし、問題点があるならそれを直に伝えればいい。

なのに「何かあるでしょ?」と言ったことで、管理者自身が自分の感情を読めていない人であることがわかり、さらには私の想いも何も知らないんだな、ということがわかり残念な気持ちになってしまった。

私が普段どのような介護をしているのか興味のない人に管理され、第三者の目を気にした見栄えのいい介護をさせられることが私には苦痛でした。

そんな管理者は、介護士が楽をして笑って仕事するなんてことは絶対許さないだろうし、「楽な介護をしましょう」なんて言っても理解してもらうことがまずできないでしょう。

なので楽な介護現場をつくるには介護士を心から信頼してくれる管理者が必要。

 

自然と笑顔になれる介護施設が増えてほしい。

「楽をする」というと、手抜きしているみたいでイメージはあまり良くありませんよね。

なのでまずは、「大変な思いをする=頑張っている」という固定観念を疑うことからはじめましょう。

大変な思いをすることで評価される環境に居ると、ずっと大変で居続けなければなりません。

無駄を省き楽をすることも評価される職場にしていきたいですね。

どれだけ大変なのかをアピールすることで高評価を得られる施設の介護士に、介護される利用者も気が休まったもんじゃありません。

介護士が疲弊している姿を見せることなく、利用者も安心して自然な笑顔でいられる介護現場が増えることを願っています。

 

いつも笑顔の人が幸せとは限らない。

 





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