LGBTQ

私がゲイかどうかを確かめたい君は私が好きなのか?

 

 

同性愛者かどうか確かめたいあなたへ。

確かめようとする前に、まずその相手が同性愛者だとわかったときに、あなたはどうしたいのかをよく考えてみてください。

好意があって脈ありかどうかを知りたいのでしょうか。

もしくは、嫌いで貶めたいとか。

どちらでもなくただの興味本位でしかないなら、ゲイかどうかを確かめようとするのはやめて、どうかそっとしておいてください。

あなたの周りにも間違いなく同性愛者はいます。そして、ごく普通の暮らしを送っています。

しかし、興味本位で確かめようとする人には、面白がられ面倒なだけなので、本当のことは言いません。

ゲイかどうか確かめたい人がいるのなら、確かめずに「ゲイに違いない」と心の中で勝手に決めてつけてもらったほうがまだいいかもしれません。

というのも、ゲイであろうとなかろうと本当はどっちでもいいはずだから。

 

私がゲイかどうかを確かめようとした人の話。

なんでホモなん?

「なんでホモなん?」

中学2年で同じクラスになった魔人ブウ似の男子(以降Bにします)は、私を見かけると聞いてくるようになっていました。

いつも同じ男友達と遊んでいたからか、その当時好きだった人がいたので、彼を追う目線を見られてしまっていたのか、勘ぐられてしまいました。今思えばBのことも少し性的な目で見てしまっていたかもしれなくて嫌悪感を持たれてしまったのかも。

この頃の私は、同性愛者であることを受け入れられずにいたし、一生隠し通すつもりでいたので、「何言ってんの?」「なんでってなんで?」とはぐらかしていました。

人に笑われるような恋愛をしているつもりはないのに、テレビで見る変態キャラの同性愛者や笑いものにされるオカマのようにこれから扱われ続けるのかと思うと恐怖でした。

ホモを認めて言いふらされてしまったら学生生活が大変なことになってしまうような気がして、しつこく聞かれ続けていたけれど、なんとか周りには知られることなく中学を卒業しました。

 

頑張って

Bも同じ高校に進学していました。

学科が違ったのでほとんど顔を会わすことはなかったけれど、それでも廊下でたまにすれ違うと中学の頃のように、「ホモ。ホモ。」と、私にしか聞こえない小さな声で言ってきていました。

高校で新しくできた友人に、私がホモかもしれないなんて絶対に思われたくなくて、私にとってBは日常生活を脅かす存在でした。

人の目を気にして同性愛者なのを隠そうと努力することが、気づかぬうちにどんどん自分自身の存在を否定していて、生きるのが辛くなっていました。

もう誰も好きにはならないと決心して、新しい気持ちで高校生活をはじめていたのに、変わりないBの態度に我慢の限界が。

ぶち切れてしまいました。忘れもしない昼休みの図書室での出来事。

それから私たちは、すれ違っても目を合わせるくらいで言葉をかわすことはなくなりました。

 

高校生活は、いつしか大学受験を控える時期を迎えていました。

本棚の並ぶ狭い小さな資料室にいた私を見つけて中に入ってきたB。身構える私に「大学どこ行くの?」と彼は聞き、私が答えると「そっか、頑張って。」と私のお腹を軽くグーでパンチして資料室を出て行きました。

その「頑張って。」が私の心に刺さってしまいました。死ぬほど嬉しかったんです。

当時同性愛者として生きるのが辛くて、それを誰かに知ってもらたくて、だけど誰にも言えなくて、葛藤に苦しんでいました。

そのときBが言った「頑張って。」は、唯一私が同性愛者なのを知っている存在の言葉として私に届き、私を励ましました。

 

高校最後の冬休みの間、Bとの関係、中学からグーパンチまでを繰り返し思い返していました。

Bにだったら、何度も打ち明けるタイミングがあったことに気づきました。なんでホモだと認めなかったのだろう。

「なんでホモなん?」という聞き方も、後々考えると好感がもてました。ホモかどうかを聞いているのではなく、なぜホモなのかと、私がホモだと決めつけた聞き方。

「もし今度聞いてもらえたら正直に答えよう。」そう私は心に決めました。

 

電話番号が変わったから

卒業して、私たちは別々の道へ。

大学生になってしばらく経った頃。どんより薄暗い台風の日。

警報で休校になり、いつもとは違う時間の電車で帰ることになって乗り込んだ車両にBが乗っていました。

互いの近況を報告しあい、電話番号を交換しました。

同じ駅で降りて、駅に着いてからも徒歩だった私にあわせてバイクを手で押し、私の家を経由して、自分の家へとBは帰っていきました。

「なんでホモなん?」と昔のように聞いてほしかったけど、聞いてはくれませんでした。

 

それからしばらく経って、知らない番号から着信があり、出てみるとBでした。「電話番号が変わったから。」と。

ちょうどその日体調不良で寝込んでいた私にBの声は優しく響き、窓越しに見た空がいつもより澄んで見えて、何年かぶりに胸をぎゅっと握られたように苦しくなったのを鮮明におぼています。

 

君はもしかして私のことが好きだったのか?

それから二十年が過ぎ、携帯に電話番号が入っているというだけの関係。

台風が近づくたびにBを思い出してしまいます。

「なんでホモなん?」と聞かれて、あの時私が正直に答えていたらどうなっていたのでしょうか。

Bは受け入れてくれて、よき理解者となってくれたのでしょうか。

あの頃ただ一人でも私を受け入れてくれる人に出会えていれば、私の人生は今とは違っていたのではないかと思うとやり直したい衝動にかられます。

やり直せたとしても、周りに言いふらされて笑いものにされるかもしれないと思うと、やっぱりまた本当のことは言えないでしょうか。

もしまた「なんでホモなん?」って聞かたときには、「なんでかはわからへん。」としか言えなさそうだけど、はぐらかさずに答えたい。

そして逆に聞きたい。

「なんでホモなん?」と聞いた君はもしかして私のことが好きだったのか?

 

 

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アウティングが怖いからカミングアウトはしないと決めています。

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