エッセイ 介護士の動機

認知症がもたらす負の連鎖。介護士は辞めれるけど家族は辞めれない。

投稿日:2017年3月17日 更新日:

仕事だと割り切っている介護士でも認知症を患った高齢者の相手をしていると負の連鎖を引き起こしそうになることがあります。今日はそんな話です。

 

怒りっぽいボケ婆さんに煽られる介護士。

婆さん「なんでこんなことなってんの?!」「誰こんなことすんの?!」

暇つぶしに喧嘩をふっかけてくる、うすらボケた婆さんがうちの施設にはいる。

残念なことに、楽しいテレビ番組がやっていない日の夜勤に私は当たってしまった。

私「(あんたや・・・)」とストレートには言わないが、我慢の限界が近づいてきている近頃は、遠回しに「あんたや。」を伝えてしまう。

ちょっと前までは、誰かを犯人に仕立て上げないと納得しないから、私が犯人となって謝ることもしていた。なのにこの婆さん、謝るだけではそう簡単に許さない。

なぜなら、暇つぶしで絡みたがっているから。それが最近わかってきた。

落ち着いて喧嘩を買わずに対応されると気に食わないらしい。それでも私は頑張って冷静に納得してもらえるように説明をする。

「頭おかしなって(施設に)入ってるからしゃあない。」と口では言いながら、他の誰よりも頭が良いと婆さん自身は思っているようだ。しかし、本当にボケてしまっているところがあるのでたちが悪い。

性格の悪さに認知症が掛け合わさると、これほどまでに人は極悪非道になれるのかと思い知る。サイコパスの気質がある婆さんにかかれば私はオモチャ。人の心の揺さぶり方が並外れており、あまり感情を表に出すことのない私がブチ切れそうになった。

そんな私の姿を見る婆さんの目は輝いていた。私が婆さんの言葉によって動揺したのが伝わってしまったのだろう。

「まだまだ私はやれる。」そんな目をしていた。

 

認知症がもたらす家族への負の連鎖を垣間見る。

21時、なにやら婆さん好みの2時間番組が始まったようで束の間私は解放される。

どうしてあんな風になってしまったのだろうと考える。

若いころ銀行で働いていて営業車に乗せられ色んな家をまわっていたと本人から聞いたことがある。

たくさんの人に頭を下げ、偉そうに言われたのだろう。

「今はお客様としてここにいるのだから、今度は自分が偉そうにする番だ。」と言わんばかりの態度をとる。婆さんは自分がされたことを当然のこととして自分の中に落とし込むために年を重ねると共に、「される側」から「する側」へと変わっていったんだと思う。

気持ちはわかるが、そこに認知症が加わると対応が本当に難しくなる。

夜勤が明けて家に帰っても、一晩中うすらボケた婆さんの暇つぶしのために咎められ続けて、私の心はやりきれない思いで満タンになっていた。

ちょっと確認したいことがあって携帯ショップのサポートに電話をしたら、そのオペレーターの対応があまりにそっけなかった。改善策を提示してくれなかったことにすごく腹が立った。

その時にふと、自分の思い通りにならず腹が立って、うすらボケた婆さんの態度を一瞬でも真似ようとしてしまった自分に気付く。

昨晩言いたいことを我慢したご褒美に、悪態をつくことを自分に許しそうになってしまった。負の連鎖はこんな風に連鎖していくのだと知った。家族だったらとっくにおかしくなっているだろう。

「介護士辞めたい・・・」

昨夜はそう思わずにはいられない内容の夜勤だった。

婆さんが家で一緒に暮らす家族だったとしたら、第3者の協力なしではさぞかし大変だろうと思う。私は家に帰ることで解放されるけれど。

婆さんみたいな家族を抱える人は、たまには介護から離れて、ゆっくり旅行にでも行って休むことが大事。家族が出掛けている間の数日だけ預かるというサービスをしている施設がたくさんありますから頼ってください。

 

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