エッセイ 介護士

亡くなった人を思い出すことが残された人にできること。

投稿日:2017年6月25日 更新日:

「亡くなった人を話題にして騒ぎたてるのはやめて。家族のためにそっとしてあげてほしい。」

そんな一文を目にして思うことがあったので書いています。

この記事を書いている前日に小林麻央さんが亡くなりました。芸能の世界で生きる方にとって、自分の名前がニュースとして大々的に取り上げられ、多くの方に訃報が届き、様々な声があがるのはどちらかといえば喜ばしいことなんではないでしょうか。

旦那である海老蔵さんのマスコミへの対応をみていても、多くの人に知ってもらうことは悪いことではないと受け止めているのだろうと思いました。妻である小林麻央がもしこの場に立てるのだったら、こういう対応をするだろう。そんな気持ちで話しているようにも見えました。

 

亡くなった人は記憶の中にしか生きられない。

今はまだ、「マスコミの対応が騒ぎすぎ。」とかいう話題にまで広がっていることで、多くの人が彼女の事や人の死について考えています。私もそのひとりです。

マスコミがあえて視聴者がつっこみたくなるような対応をとっていたのだとしたら?

考えすぎでしょうか。私が彼女の訃報を知ってすぐにはもう「そっとしておいてあげて。」と書かれたツイートが回ってきていました。

なのに亡くなって数日もすると、マスコミは取り上げなくなり、世間の人々の興味や関心は薄らいでいき、情報が出回らなくなります。そうなると人は忘れていきます。

 

この瞬間も人知れず亡くなっている人がいるということ。

介護士という職業柄、人の死について考えることがよくあるので思うのですが。

今この瞬間も、町の老人ホームでは、ひとり静かに息を引き取っている方がいます。そしてその町の産婦人科では新しい命が産まれています。

けれど、そんなことは身内でもなければ情報として入りません。人の生死を想像して毎日悲しんだり喜んだりしている人なんていないでしょう。

私たちは、この世界のどこかで亡くなっているかもしれない34歳の女性ではなく、小林麻央さんという女性に意識を向けたわけです。

人は意識を向けた情報にしか反応できません。けれど意識することで情報をキャッチする幅を広げることはきっとできるはず。

彼女が願っていたのは、自分と同じように病と闘っている人がいるという現実を多くの人に知ってもらうことでした。私はその気持ちを受け止めたいと思います。

これから先、有名な人が亡くなった時にまた世間が騒ぎ立てたら、少数かもしれないけれど、この記事に辿り着く人がいて、小林麻央というひとりの女性がいたことを思い出してくれるだろう。そう思いながら書いています。

 

故人を思い出すことが残された人の役目。

これを書いている今日、車を運転しながら考えていました。

「もうすぐ誕生日か。亡くなって2年経つのかな。」

過去の記事で書いている元彼のことを考えていたわけなんですが。

付き合った期間は2年と短く、一緒に暮らしていたわけでもないので、実際に一緒に過ごした時間というのはもっと短いです。24か月のうちの1/4、6か月くらいでしょうか。6か月は4380時間。

出会いから別れまでをすべて思い出そうとすれば4380時間かかるはずなんですが、最初の出会いから1時間のことが思い出せません。なんなら4380時間ぶんの思い出を振り返っても1時間もかけられません。

でも亡くなった人の思い出というのは私だけの中にあるわけではありません。亡くなった人が関わってきた人の数だけ思い出がこの世には残っています。

たとえ私が10分間の思い出しか話せなくても、他にそんな人が5人集まるだけで1時間の思い出を語ることができるのです。

少しの思い出であっても、完全に忘れてしまうことさえしなければ、亡くなった人はいつでもこの世界に人の言葉を借りて存在することができるのです。

 

頭の中にあるはずなのに忘れてしまった大切なことを少しでも思い出したい。

本を読んだり、新しいことを学んでいると、「インプットしている。」という意識高い気持ちが生まれます。しかし、どんなに時間をかけて頭にいれても断片的にしか私には記憶することができません。

読んだ本に書かれていた文字をそのまま思い出すようなアウトプットを私はしようと思っているわけですが、それは無理なようです。自分の頭に取り込んだものは、圧縮されて収納され、取り出すときにも何かしらの加工がなされています。

生きてきた時間をすべて思い出そうとすると、生きてきた時間の分だけかかるはずなのに。

体験したことは事実として頭の中に入っているはずなのに、なんで思い出せない。

 

 

元彼の訃報を後で知って会いに行きたくなった。

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大切な人を亡くした時にそっと寄り添ってくれる曲。

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