わたしがHSPを自称しはじめたわけ。
ずっと生きづらさを感じていたのは、私が同性愛者だからだと思っていたんですね。
「なぜ人を好きになるか?」「人は何のために生きるのか?」「善悪はどう決まるのか?」
考える必要のないことについてひとり思い悩まなければいけないのは、同性愛者として生まれてしまったがため。だから同性愛者はみんな私と同じように悩んでいると思っていました。
しかし、色んな同性愛者の考えを目にするうちに、「あれ?みんながみんな思い悩んでるわけではないぞ…」と思い始めて。私も表向きは何の悩みもないフリをして生きてはいたのですが、明らかにそういうのじゃない人がいる。
私が「考えてもどうしようもないことがある。」と自分に言い聞かせるためには、ものすごく考える必要がある。それに対して、何も考えなくても「考えても仕方ないやん。」と思える人がいる。
「なんで自分はこんなに悩んでしまうのだろう?」「なんでシンプルに生きれないんだろう?」と。そこでまた悩んでしまうのですが、自分なりに悩んだあげく落ち着いたのが「私はHSPかもしれない」というところでした。
HSPという気質が私自身を思い悩ませているのであれば、自分が同性愛者なのはそれほど思い悩むことではないのかなと思えるようになって少し気が楽になったんですよね。
それからブログにHSPについて書いてみようと思って、もう少し深くHSPについて知る必要がある気がして、今回「ひといちばい敏感な子」を読んでみました。
「ひちいちばい敏感な子」を読んでHSPについて知る。
「ひといちばい敏感な子」は、臨床深層心理学の博士:エレイン・N・アーロンの著書で、HSC(Highly Sensitive Child)を持つ親御さんに向けた内容となっています。
HSPやHSCは医学用語ではなく、エレイン・N・アーロン博士が提唱した概念なので、病気や障害ではありません。だからHSPを自称しやすいっていうのもありますよね。
著書の内容は、「HSCが何に超敏感なのか」、そして「そんな子どもをどのように育てればいいのか」が事例とともに紹介されています。
そんな本を、独身の同性愛者の四十路の男が読んでみました。
HSCかどうかを知るためのチェックリストをやってみた
著書にある「HSCかどうかを知るためのチェックリスト」は著作権保護のため引用できません、ので回答のみとさせていただきます。
ご自分でテストしてみたいという方は、エレイン・N・アーロン博士の公式サイトにも同じものがありますのでご覧ください。私がやったのはHSCのセルフテストですが、サイトには大人向けHSPのセルフテストもあります。
>>>セルフテスト/The Highly Sensitive Person
1、・・・いいえ
日常生活でびっくりすることはほとんどありません。
2、・・・いいえ
日常生活で気にすることはありませんが、大人になった私は自分で好きな服を身に着けられるので、選ぶ段階で苦手なものを避けている可能性はあり。
3、・・・はい
自分以外の人がいる・いないで自然と気持ちを切り替えているらしく、人がいないと思っているときに声を掛けられて、驚くことがありました。見られて困ることや何も変なことはしていないのに。
4、・・・はい
正確には、強いとか優しいよりも、理にかなっているかどうかかもしれません。子供のころからそうで、大人がしつけと称して言うことに納得いかないことがかなりありました。
5、・・・はい
親に「~さんところの~君は~らしいわ。」とか言われて、しょっちゅう腹を立てていました。怒ると「誰もそんなこと言ってないやん」と必ず言われて、そのやり取りがものすごく嫌いでした。
6、・・・いいえ
どちらかというと難しい言葉を知りません。
7、・・・いいえ
思い返してみると、子供の頃は車酔いしやすく、臭いに敏感だった気がします。大人になった今は臭いに敏感ではありません。
8、・・・いいえ
仲が深まり、相手がどんな会話にユーモアを感じるのかがわかれば取り入れますが、初対面の人には無難な会話をします。
9、・・・はい
子供の頃にはわかりませんでしたが、今になって「あの時考えてたことを行動に移していれば今頃…」「十年前にぼんやりと思ってた通りに今なってるやん…」ということが結構あります。
10、・・・はい
これはものすごく当てはまります。仕事中に人と会話していると脳がフル稼働している感覚になります。昂った神経が家に帰ってもなかなか元に戻りません。眠っている間に脳がデフラグしている自覚があり、寝ると情報が整理されます。
11、・・・いいえ
結果的に適応できますが、適応するのにものすごくストレスを感じます。
12、・・・いいえ
疑問は浮かびますが、人に質問はあまりせず、ひとりで考えることが多いです。
13、・・・いいえ
日常生活で気になったことはありません。服が汚れると着替えたくはなりますが我慢できる範囲。
14、・・・いいえ
完璧が何なのかわからないので目指しません。こういうことを聞かれると「完璧ってなんなん?」みたいなことから考えはじめてしまいます。
15、・・・はい
これは子供の頃の方が強かったです。放っておけなかったし放っておかなかった。今も気づくけど自分を優先するようにしてます。
16、・・・はい
大人になるにつれて静かに遊ぶのを好むようになりました。逆に子供のころはいつも誰かと遊んでました。
17、・・・はい
病弱だったからだと思うのですが、幼少期に「棺桶に入って焼かれるのって熱いのかな」って考えていたのは今もよく覚えています。
18、・・・いいえ
痛みに敏感ではありませんが、テレビで手術している場面なんかが映ると「あー痛い痛い」って体を触ってしまいます。
19、・・・いいえ
音楽を大音量で聴きますしコンサートにも行きます。パートナーのイビキを聞きながらでも眠れます。ですが、人の話し声や子供の泣き声などをずっと聞いていると意味を理解しようとして頭が働き続けるので苦手です。
20、・・・いいえ
細かいことには気づきません。気づかないというよりも「気にしないようにしている」のが正しいかもしれません。
21、・・・はい
石橋は叩きまくります。だいたいのことをシミュレーションしてから行動に移します。
22、・・・はい
人前で発表するのが苦手です。自分の言いたいことを言えばいいのに、大勢の前では誰に向かって話せばいいのかわからなくなり、言葉が詰まります。
23、・・・はい
矛盾点に気づくと考えはじめます。
私の「はい」の合計は11個。
13個以上「はい」ならHSCだそうです。たとえ「はい」が1つか2つでもその度合いが極端に強ければHSCの可能性があるとのこと。
しかし、このチェックリストの質問って13個くらいなら誰にでも当てはまりそうなんです。HSPは5人に1人はいるといわれていますが、それ以上に当てはまる人がいそうな気がしていたら、やはり同じ考えの人はいました。
「わたしはHSP」と思ってしまうバーナム効果
ある臨床心理士の先生が、"エレイン・N・アーロン博士のHSCのチェックリストは、バーナム効果(占いなどによく見られる誰に対しても当てはまる項目を「わたしのことだ」と錯覚してしまうこと)を引き起こしかねやすい内容"だと書いている記事を見かけました。
このバーナム効果を引き起こしやすいチェックリストや、「わたしはHSPなんだ」と思ってしまいやすい概念は、悪用されやすい構造にリスクがあるとのこと。
「わたしはHSPなんだ」と思うだけなら問題ありませんが、「HSPのあなたは~したほうがいいですよ。」と他人があなたを誘導するのに利用されやすいのです。
HSPに向けて「適した仕事を紹介します!」とか「疲れないライフスタイルを提案!」とか書かれたものを最近よく目にするようになってきましたし、実際わたしもブログで「HSPとは」について説明しそうでした。(専門用語について根拠も示さずに説明するインフルエンサーや、専門家のフリをするアフィリエイターなんていなくなればいいと思いはじめていたときに同じことをしかけました。)私がはじめてHSPを知ったのも医療や心理系じゃなく、スピリチュアルカウンセラー系だった気がします。
HSPとADHD・ASD
よく受ける質問に、敏感な気質とADD/ADHD(注意欠陥・多動性障害)との関係について教えてほしいというものがあります。この2つはとてもよく似ていて、多くのHSCがADHDと誤診されているという専門家もいます。
私はHSCが、ADHDだということはありえると思います。でも、この2つは同じではありませんし、ある意味で正反対ともいえます。
「HSPの自分をどうにかしたい」「生きづらさをどうにかしたい」と本気で悩んでいる人は要注意で、HSPの診断よりも、ADHDやASDではないかをきちんとした医療機関で診断してもらったほうがいいかもしれません。
光や音に過敏なのは発達障害の感覚過敏の可能性がありますし、細かいところに気がついたのを見過ごせなかったり、ひとりを好むのはASDの特性にあります。HSS(刺激追求型のHSP)は、注意力散漫でじっとしていられないADHDの特性と重なるところがあります。日常生活に支障をきたすほどしんどいのであれば鬱かもしれませんし。
HSPっていうのはあくまでも自分の気質(変えられないもの)だと知って納得するための概念として受け入れるくらいにしておかないと、信憑性のないネット情報に振り回されてしまいます。
良いのか悪いのか、この著書は、自分の子供を発達障害とは認められないけど、HSCだったら受け入れられてしまう親御さんが違和感なく読みすすめられる内容になっています。
HSPが必ず持っている中核特性「DOES」
チェックリストは、誰にも当てはまる項目があったり、該当しなくてもHSCだといえてしまう内容でしたが、最近になって、HSPが必ずもつ中核特性が4つあるといわれるようになりました。4つのうち1つでも当てはまらなければHSPではないということです。
1、D(深く処理する)Depth of processing
例:無意識に物事の本質を捉えようとする
2、O(過剰に刺激を受けやすい)being easily Overstimulated
例:疲労を感じやすい
3、E(感情反応が強く、共感力が高い)being both Emotionally reactive generally and having high Empathy in particular
例:相手に何をしてあげるべきかが自然とわかる。そしてその通りにして上手くいくことが多い。
4、S(些細な刺激を察知する)being aware of Subtle Stimuli
例:得られる情報が少ない場面では特性が出にくいため、些細な刺激を察知しているとわかる。(メールや電話だと対応が難しく感じる。ひとりで過ごすと疲れを感じにくい。)
私が思うに、HSPの人って求められていることが何となくわかるから人間関係においては問題を起こさずそれなりにやり過ごせているのではないでしょうか。特に大人のHSPはそんな感じだと思います。しかし、ものすごく疲れるし、自分の言いたいことよりも、相手が必要としている気がする言葉を自然と選んでしまい「自分が無い」ような気がして辛いんですよね。(相手が必要としている気がする言葉とは、相手が言って喜ぶ言葉ではないこともあります。)
イヌにもHSPがいる
全ての種には、2種類の性格があることがわかりました。一つは、HSCのように敏感で、ささいな情報を察知し、すべてを確認してから進むタイプ。もう一つは大して注意を払うことなく大胆に進んでいくタイプ。
2つの「種類」がいることにより、群れ全体の生き残る確率が高くなっているのです。
ブログに時々書くんですが、旅行なんかで愛犬を連れて家の外に出ると、ものすごい愛犬が緊張しているのが伝わってくることがあります。
「私の緊張が愛犬に伝わっているのかもしれません。」なんて書いていましたが、イヌにも共感力が高い個体があるのだとしたらあり得るってことですよね。イヌと人間でもHSPが影響しあうのだったら、親子でHSPだったらさぞかし大変。子連れで電車に乗って「子供が泣いたらどうしよう」って心配する母親の緊張を察知してしまった赤ちゃんが大泣きしてしまってそれに引っ張られて母親も気が動転してしまう、みたいなことが起こりうるわけです。
そしてそういう場面に遭遇した人は、母親のほうをリラックスさせてあげられれば、赤ちゃんも泣きやむかもしれないっていう考えができますね。
「犬の躾は褒めれば上手くいく」と私は思っていましたが、愛犬がたまたま「飼い主が喜んでいるのを見て嬉しいと思うタイプ」だったから上手くいったようで。しっかり主従関係を教えた方がうまくいくタイプのイヌもいるそうです。たしかに私の愛犬に主従関係を教えようときつい躾をしていたら、委縮してしまいさらには怖さから人を噛むイヌに育っていたのではないかと愛犬を見ていて感じます。
イヌの躾はイヌの気質に飼い主が合わせたほうがうまくいった、っていう事例ものっていて、子育てだけではなく、犬のしつけにも役立つ内容が書かれています。
HSPの本心を必要としてくれる敏感でない人をパートナーにする
この本を読んでも「わたしはHSPだろう」と思いますが、もうみんなHSPなんじゃないかってくらい社会にHSPがたくさん存在しているのがわかった今、あえて「HSP」という言葉を使う必要はない気がしてます。あとはHSPっぽい気質をどうやって「自分らしさ」として昇華させるかが課題です。
あと、著書のなかで敏感でない人の扱われ方が良くない感じがして気になりました。HSCを持つ親御さんの背中を押すための本なので仕方ないのでしょうが、敏感でない人より敏感な人のほうが優れていると誤解をしないように読むときは注意していただきたいです。
HSPの本心を必要としてくれる敏感でない人はHSPの能力を良い方向に引き出してくれる最高のパートナーになり得る存在です。
いじめをなくす方法はシンプル。なのにナゼなくならないのか?
続きを見る